以前紹介させていただいた時、Vクラスのバッテリーはエンジンルーム内に無いということでしたので、
改めて本当のバッテリーの位置を紹介したいと思います。
目次
1.バッテリーの搭載位置
1-1.スターターバッテリーの搭載位置
まずは、基本に立ち返り説明書の確認。
ここにしっかり書いてあったんですね。本当のバッテリーの位置は、運転席シートの中です!
これに基づいてバッテリーを拝みに行きたいと思います。
※2019.5.6追記
運転席の側面にもオレンジ色のラベルでバッテリーの位置が書かれていました。
(447)はこのVクラスの型式、W447を恐らく表していると思われます。
1-2.補助バッテリーの搭載位置
上記説明書にスターターバッテリーと補助バッテリーの二つ存在していることが明記されています。
スターターバッテリーの搭載位置は説明書通りに進めて行くと分かりそうですが、補助バッテリーはどこにあるのでしょうか?
色々調べてみると、どうやら同じ運転席シート内のスターターバッテリーの横に搭載している様です。
株式会社ホソカワコーポレーション様のメカニックブログを参考にさせていただきました。
Vクラスの分解写真やカスタム写真を多く紹介しており今後もお世話になりたいと思います。
2.バッテリーの取出し方法
2-1.運転席より
まずは、運転席ドアを大きく開けて作業しやすい様にします。
2-2.小物入れカバー取り外し
少しコツが要りますが、両手で手前に引いて「ガボッ」と外します。
小物入れカバー上部両端に2ケ所ボスが付いてそれが運転席にはまっており、それを引き抜く形になります。
くれぐれも下部を引かない様にして下さい。フックが運転席に引っかかっているので取れません。
2-3.ブラケット取り外し
ブラケット固定のボルト2本を外します。六角のソケットサイズは10mmです。
何か元から締め付けが弱かった気が。。。
2-4.ブリーザーホースの取り外し
点線部からブリーザーホースを引き抜きます。
※説明書には「ブリーザーホース」と明記されておりましたが、一般的には「ガス抜きホース」等の呼ばれ方をされている様です。
2-5.バッテリーの引き出し
一旦、これぐらいバッテリーを引き出します。
掴みどころが無いのでやり辛いですが、バッテリーの縁や、ボディーを掴み何とか引き出します。
2-6.端子(マイナス)の取り外し
六角ナットを緩め端子を取り外します。こちらも使用工具は六角のソケット10mmです。
ヒュンダイモービス製ですね。ポッティングもされています。
この部品は何だろう?ご存知の方教えて下さい。
2-7.更にバッテリーの引き出し
バッテリーを引っ張り出し、ステップへ仮置きします。かなり重たいです。
2-8.端子カバー取り外し
上に引っ張れば簡単に外れます。ただバッテリーの穴にカバーのボスが入っているだけです。
これにも小さいですがベンツマークが入ってます。
2-9.端子(プラス)の取り外し
マイナス端子同様、六角ナットを緩め端子を取り外します。こちらの使用工具はスパナ10mmが良いかと思います。
2-10.バッテリー取出し完了
やっとバッテリーを取り出せました。重いです。26kgもあります。
メーカーはVARTA(バルタ)。日本ではあまり聞きなれないメーカーですが、欧州では純正装着率No.1とのことです。
また、初めて見ましたがAGM(アブソーブド グラス マット)バッテリーですね。
近年、欧州車に純正採用が増えているようです。
ボッシュ株式会社様のプレスリリースで、AGMバッテリーについて詳しく説明されていますので紹介します。
2-11.バッテリー収納エリア
バッテリーが収められているエリアはこの様になっています。
完全に小部屋になっていて、右側にジャンクションボックスでしょうか?箱の様なものが固定されております。
恐らく補助バッテリーを交換する際は、シートを取り外さないといけないんでしょうね。
3.バッテリーの取り付け
バッテリーの取り付けと言っても取出しと逆の手順で進めていけば取り付け可能です。
しかし、少し問題が起き対策しましたので紹介します。
3-1.バッテリー固定ブラケットの座面が合わない
バッテリーも奥に押し込み、固定ブラケットをセットしボルトを締めようとしたとき、ブラケットと座面とボルトを受けるナットの軸が合いません。
何を言っているか断面図で説明します。
写真の断面位置のイメージが上記ポンチ絵になります。
バッテリーとステーを固定ブラケットで押さえ、ボルトで締結する形となります。
しかし、実際は上記ポンチ絵となっており固定ブラケットの穴軸とウェルドナットの軸が同軸になっていません。
原因としては、面Aと面Bの位置関係が固定ブラケットの面と一致していないことが考えられます。
絵が下手くそで判りづらいかもしれませんが、面Aに固定ブラケットを合わせるとステーから固定ブラケットがはみ出す、面Bに固定ブラケットを合わせるとバッテリーとは線で当たる。
と言う様な事象が起こります。
無理矢理組み付けようとすると、ボルトが斜めになって締まったり、そもそも雌ネジの山を噛んでくれなかったりします。
3-2.仮説検証
仮説①:面Aと面Bの位置関係が悪い
⇒面Bを支配するステーは溶接で固定されている為正しいと仮定すると、疑うのは面A。バッテリーを何度か出し入れしもっと奥に入らないか試してみましたが変化はありません。
恐らく仮設①は白です。
仮設②:固定ブラケットの寸法精度が悪い
⇒図面もCAD DATAも無い為確認、白黒付けれません。
しかし、固定ブラケットの穴部をもう一度確認すると元から(車両組立時から?)無理やり締めている跡があります。
判りづらいかもしれませんが、穴部の写真上側がボルトの座面で押さえつけられ変形しています。
一番最初にボルトを取り外した際、何となく緩かった感じがしたのは無理矢理ボルトで押さえつけ、ネジ山の掛かりが少なかったからかもしれません。
3-3.対策
ここまで分かった以上このまま放って置くにもいかず、無理矢理組み付ける訳にもいかず、ということで対策を考えました。
穴部を上から覗き込むと、地面が見えます。なので、ウェルドナットは車体そのものに取り付けられています。
上記は、車体下から撮った写真です。簡単に手を回すとウェルドナットに触れます。
ということで、逆にここから(下から)ボルトを立てそこに固定ブラケットを組み付ける形にしようと思います。
無理矢理固定させることには変わりませんが、上からボルトで固定するよりも確実に固定出来ます。
3-4.部品準備
左が純正ボルト、右が今回用意したボルトです。ちなみにボルトサイズはM6です。
首下長さを、15mm ⇒ 35mmへ長くしました。
その他、ナットとワッシャーを用意しました。
<購入金額>
M6ボルト×L35:\5×2本=\10
M6ワッシャー:\1×2本=\2
M6ナット:\1×2本=\2
合計:\14(税込\15)
3-5.部品組み立て
ボルトを車両下から組み立てた状態です。車両下手を回せば入りますので、特に作業しづらいことはありません。
ワッシャーとナットも組み立てた状態です。しっかりと固定出来ております。完成です。
強いて言うと本対策のデメリットしては、バッテリー交換でバッテリーを引き出す際は、ボルトも緩めてバッテリーの通り道を作ってやらなければなりません。
特に時間も掛かりませんので、良しとしましょう。
4.部品ベンチマーク
4-1.小物入れカバー
特徴としては、2部品を熱溶着で固定して1部品とされています。
熱溶着が21箇所、ハニカム形状リブ等、全体的にしっかりとした剛性感があります。
また表面には革シボが施されており、大きなヒケやムラも見られずきれいに成形されております。
・製造国:スペイン
・製造メーカー:CEFA
・製造日:2016.5.4
・材質:PP-HC
4-2.バッテリー固定ブラケット
特徴としては、板厚も厚くビード、三角ビード入りでかなり剛性が高い印象です。
・板厚:t=2.0mm
・表面処理:カチオン塗装
5.まとめ
今回初めてVクラスの部品を外す作業を行いました。
ただバッテリー脱着のみの作業でしたが、気付きや確認ポイントは沢山あり、益々興味深い車となりました。
部品そのものは決して安価には感じませんでしたが、組み付けや作業性は良いとは言辛い印象です。
(もしかしたら固定ブラケットの件は、他車共通部品であの様にばらつきが大きくなってしまったんですかね)
今後もバッテリー交換等で作業する機会はあると思いますので、また気付き等あれば改めて紹介したいと思います。